レヴォーグは、速いのに、あえて速さを主張しない。異世界転生でチート能力がありながらもひっそり暮らす主人公のような特徴をもった存在だ。
・高速道路の巡航は“楽”という声
・低速の段差は“硬い”と感じる人がいる
・燃費は期待値次第で評価が割れる
試乗記やオーナーの言葉で繰り返されるのはこのような評価。
一方で、刺激が強い車を求める人からは、派手さがない、熱くならない、とも言われる。この二つは矛盾ではない。レヴォーグは「速さを見せる」ためではなく「速さを日常の中で使い切る」ために整えられている。
レヴォーグの歴史
レヴォーグが登場したのは2014年。レガシィツーリングワゴンの後継的な役割を担いながらも、同じ道は選ばなかった。セダン寄りの落ち着きに振り切ることも、WRXのように走りを前面に押し出すこともしなかった。
初代から一貫しているのは、「スポーツワゴンを日常に置く」という思想だ。速さはあるが、誇示しない。安定はあるが、鈍らせない。家族や荷物を積んだ状態でも、走りの質を落とさない。そのために、ボディ、足回り、AWD、運転支援を含めた全体のバランスが最初から整えられている。
レヴォーグは、流行に合わせてキャラクターを変える車ではなく、役割を磨き続けてきた車だ。
速さが“結果”として付いてくる
レヴォーグの気持ちよさは、踏んだ瞬間に煽ってくるタイプではない。
速度が乗っていくほど、車の姿勢が崩れにくく、修正が要らず、緊張が増えない。直進が強い、オンザレールだ、と言われやすいのは、この「余計な介入が増えない感じ」が残るからだ。
走っているのに、忙しくならない。忙しくならないから、速くても速さを主張しない。
崩すことが難しい車
水平対向とAWDの前提がある車は多いが、レヴォーグはそこに「運転の負担を増やさない方向」の味付けが入っている。
急に向きが変わりすぎない、姿勢変化が荒れにくい、車線変更で緊張が立ち上がりにくい。運転支援も含めて、まっすぐ走る前提が強い。だからこの車は、走りの気持ちよさと日常の気楽さが衝突しにくい。
この感覚に慣れると、主張はノイズになりやすい。カスタムなど足し算をしたくなる瞬間はあるのに、やりすぎると違和感が先に立つ。
なぜ、レガシィでもフォレスターでもないのか
レヴォーグを検討する人の多くは、同時にレガシィとフォレスターも視野に入れる。いずれも水平対向とAWDを軸にしたスバルらしい安定感を持ち、安心して走れる車として評価が高い。ただし、目指している安心の質は同じではない。
レガシィは、結果が遠い車だ。姿勢変化がさらに緩やかで、速度が乗っていても車が急かしてこない。高速道路や長距離移動での落ち着きは群を抜いており、「考えてから操作しても間に合う」余裕がある。
フォレスターは、許容が広い車だ。視点が高く、路面状況の変化を細かく読まなくても成立する。段差や荒れた路面、天候の悪さに強く、多少のズレを車側が受け止めてくれる安心がある。日常からアウトドアまで使える汎用性が最大の価値になる。
その中でレヴォーグは、高速巡航から追い越しまでの速度域で、判断と修正が一番ちょうどよく成立する位置にある。結果は近いが、急に出ない。操作と挙動が会話できる距離にあり、ズレたあとに耐えるのではなく、ズレる前に気づける。高速が楽、疲れにくいと言われる理由は、この判断距離の取り方にある。
レガシィの落ち着きでもなく、フォレスターの許容でもない。レヴォーグが選ばれるのは、走りと日常の両立を、最も無理のない速度域で実現しているからだ。
ポジティブに同じ言葉が繰り返される
多くのレビューで出てくる言葉が似通う車は、設計の芯が強い。
レヴォーグは、直進安定性、操舵の落ち着き、高速の安心感、長距離の楽さ、荷室の使い勝手、視界の良さ、安全装備の頼もしさ、といった評価が束になって返ってくる。
これらは別々の長所ではなく、同じ思想の別表現だ。運転を急かさない。余計な緊張を増やさない。だから結果として、速いのに速さを主張しない。
ネガティブでは思想の裏返し
当然、欠点も同じ場所から出る。乗り味は硬めと言われやすい。特に低速域の段差や継ぎ目で、入力が分かりやすい側に寄ることがある。刺激を求める人には、盛り上がりが足りないと言われる。
燃費は期待値が高いと不満が出る。価格や装備の取り方で割高感を感じる人もいる。STI系のように意図的に張りを増やした仕様は、好みがさらに分かれる。
ただ、ここで無理に欠点を消す必要はない。快適最優先の道具として見るなら、別の選択肢がある。
熱さや派手さを求めるなら、別の答えがある。合わない人がはっきりしていること自体が、完成の証拠になる。
関連車種
SUBARU レガシィ(LEGACY)/SUBARU フォレスター(FORESTER)/SUBARU WRX S4
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速さを主張せず、バランスを崩さない。そういう感覚に近いものを、いくつか形にしています。

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