
「盗まれるのは、高級車だけでしょ?」実は数字を見ると、その思い込みは少し危ない。
ランドクルーザーやレクサスのような高額SUVだけでなく、プリウスやクラウンも上位に並ぶ。2025年、日本損害保険協会の調査対象となった車両本体盗難の保険金支払件数は2,746件だった。
今回は同協会の第27回「自動車盗難事故実態調査」を使い、車名別の支払件数をTOP5で比較する。さらに警察庁の認知件数、発生場所、キーの状態も重ね、数字が示す盗難対策の現実を整理する。
この順位は、保有台数1,000台あたりの盗難率ではない。車両保険金を支払った件数の順位である。
今回のランキング基準
- 日本損害保険協会「第27回 自動車盗難事故実態調査」の2025年データを使用
- 損害保険会社21社が保険金を支払った車両本体盗難2,746件が母数
- 車上ねらい・部用品盗難は順位に含めない
- 車名表記は公表資料に合わせ、ランドクルーザーはプラドを含む
保険に未加入の車両、車両保険金が支払われていない被害、未遂などをすべて含む全国の盗難認知件数ランキングではない。
販売台数や保有台数が多い車ほど件数が増える可能性があるため、「上位=同じ車を持つ全員の被害確率が高い」とは断定できない。
第5位|LEXUS RX(レクサスRX)
高い商品価値を持つ、都市型ラグジュアリーSUV

第5位はレクサスRX。2025年の支払件数は113件で、前年の89件から24件増えた。
RXは都市で扱いやすいクロスオーバーSUVでありながら、レクサスの質感と実用性を両立する。公表資料は年式や型式別の内訳を示していないため、特定世代だけが狙われたとは判断できない。
高価な車だからという一言で終わらせず、年式・装備に合ったメーカー純正機能と物理対策を確認する必要がある。
第4位|CROWN(クラウン)
前年から大きく増えた、日本を代表する車名

第4位はクラウン。136件で、前年62件の2倍を超えた。
ただし、この1年の増加だけから盗難手口や対象年式を決めつけることはできない。公表表は「クラウン」という車名単位であり、セダン、クロスオーバー、スポーツ、エステートの内訳や型式別の数字は示していない。
ランキングを見るときは、数字が急増した事実と、その原因の推定を分けることが重要だ。
🥉第3位|PRIUS(プリウス)
高級SUVだけが盗難上位になるわけではない

第3位はプリウス。204件で、前年235件からは減少したものの、依然として上位に入った。
プリウスは長年にわたり普及してきた量販車で、街中で見かける機会も多い。だからこそ、このランキングは「高額車だけが対象」という思い込みを崩す。
トヨタはリレーアタック対策として、対応車ではスマートキーの節電モードを使うこと、または金属製容器などで電波を遮断する方法を案内している。ただし、それだけですべての手口を防げるわけではない。
🥈第2位|ALPHARD(アルファード)
所有価値と移動空間の価値を併せ持つ大型ミニバン

第2位はアルファード。2025年は240件だった。前年289件から減ったが、全体の8.7%を占める。
アルファードは広い室内と上質な移動空間を持ち、乗用にも送迎にも使われる。車名としての認知度が高く、住宅地や月極駐車場でも存在が分かりやすい。
目立つ車ほど「見られないようにする」だけでは難しい。侵入を遅らせる門扉や車止め、警報・通知、物理ロックを重ねる考え方が必要になる。
🥇第1位|LAND CRUISER(ランドクルーザー)
支払件数の3割を占め、5年連続で最多

第1位はランドクルーザー。プラドを含む支払件数は825件で、2025年全体の30.0%を占めた。5年連続の最多で、前年より137件増えている。
警察庁の別統計でも、2025年の車名別盗難台数はランドクルーザーが1,177台で最多。保有台数1,000台あたり3.5台とされる。一方、レクサスLXは台数195台ながら1,000台あたり19.7台であり、「絶対件数」と「保有台数あたり」は別の景色を見せる。
ランドクルーザーの825件という突出は深刻だが、車名だけで自分の危険度を決めない。保管場所、年式、装備、使用環境まで含めて対策を組む必要がある。
TOP5をもう一度比較
| 順位 | 車名 | 2025年 | 構成比 | 2024年 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | ランドクルーザー | 825件 | 30.0% | 688件 |
| 2位 | アルファード | 240件 | 8.7% | 289件 |
| 3位 | プリウス | 204件 | 7.4% | 235件 |
| 4位 | クラウン | 136件 | 5.0% | 62件 |
| 5位 | レクサスRX | 113件 | 4.1% | 89件 |
上位5車名だけで1,518件。調査対象の車両本体盗難2,746件の55.3%を占める。
半数を超える支払件数が、わずか5つの車名に集中している。
「盗難件数」と「盗難率」は同じではない
支払件数が多い理由には、保有台数、車両価値、流通量、保険加入状況など複数の要素が関わる。今回の損保協会調査だけでは、その一つひとつを分離できない。
対象保険会社が車両本体盗難で保険金を支払った事案数。今回の順位基準。
警察が犯罪として認知した件数。2025年は全国6,386件で、保険統計とは母集団が違う。
車名別盗難台数を保有車両数で割った指標。絶対件数とは別に見る必要がある。
ランキングは「自分の車は安全/危険」と線を引くためではなく、対策の優先順位を上げる入口として使う。
上位車種では対策を急ぎ、上位でなくても無対策の理由にはしない。この読み方が現実的だ。
盗難は「知らない駐車場」より自宅で多く起きている
警察庁によると、2025年の自動車盗認知件数は6,386件で、前年から5.0%増えた。発生場所は一般住宅が45.2%で最も多く、駐車場が27.9%だった。
さらに、キーが車内や周辺に残されていない「キーなし」の被害は77.8%。おおむね4台に3台が、従来の意味で鍵を置き忘れていない状態で被害に遭っている。
見せる
照明、カメラ、警報表示で、観察・接近されにくい環境を作る。
遅らせる
ハンドルロック、タイヤロック、門扉、車止めで作業工程を増やす。
始動させない
車種適合を確認した純正・専門セキュリティ、始動ロックなどを使う。
自宅だから大丈夫ではなく、自宅だから毎日同じ場所・同じ時間帯を観察され得る。保管環境そのものを対策の一部として考えたい。
対策は一つで完結させず、役割の違う層を重ねる
スマートキーの電波遮断はリレーアタック対策にはなるが、すべての手口への万能策ではない。ハンドルロックやタイヤロックも、単体で盗難を保証して防ぐ装置ではない。
日本損害保険協会は、バー式ハンドルロックや警報装置、防犯設備が充実した駐車場、防犯カメラ・防犯灯など、複数の対策を講じることを勧めている。トヨタもCANへの不正信号を遮断する純正用品や、独立した始動認証などを案内する一方、盗難防止を保証するものではないと明記している。
役割が同じ対策を増やすより、発見されやすくする・侵入を遅らせる・始動を阻む・追跡しやすくするという異なる層を重ねる。
犯行に必要な時間と不確実性を増やすことが、現実的な防犯設計になる。
録画中であることを車体へ示すサインは、機能部品ではなく意思表示だ。
監視中 ON REC - ACTIVE DRIVE RECORDERは、車載カメラの存在を車体になじむ言葉で伝えるデザイン。
※本商品は装飾用カッティングステッカーです。ドライブレコーダー本体・録画機能・盗難防止性能は付与しません。

車両盗難ランキングと対策についてよくある疑問
Q. 2025年に盗難の支払件数が最も多かった車は?
日本損害保険協会の第27回調査では、ランドクルーザー(プラドを含む)が825件で1位。調査対象2,746件の30.0%を占めた。
Q. ランキング上位なら盗難率も高い?
必ずしも同じではない。今回の順位は保険金支払件数で、保有台数あたりの盗難率ではない。保有台数や保険加入状況などの影響を受ける。
Q. 自宅の駐車場なら安全?
安全とは言い切れない。警察庁統計では2025年の発生場所の45.2%が一般住宅。照明、カメラ、門扉、物理ロック、車両側セキュリティを組み合わせたい。
Q. スマートキーを金属缶へ入れれば十分?
リレーアタックへの対策にはなるが、すべての盗難手口を防ぐものではない。対応車では節電モードも確認し、物理ロックや車両側の追加認証など別の層と組み合わせる。
Q. ドライブレコーダーステッカーだけで盗難を防げる?
防犯性能を付与するものではない。実際の録画機器、警報、物理ロック、保管環境などの代わりにはならず、表示は補助的な意思表示として考える。
まとめ|ランキングは恐怖を煽るためでなく、対策を具体化するために使う
2025年の車両本体盗難に関する保険金支払件数は、ランドクルーザー825件、アルファード240件、プリウス204件、クラウン136件、レクサスRX113件の順だった。
一方、この数字は全国すべての盗難件数でも、保有台数あたりの盗難率でもない。ランキング上位という事実と、自分の車が被害に遭う確率を混同しないことが大切だ。
警察庁統計では、2025年の認知件数は6,386件。キーなし被害が77.8%、一般住宅での発生が45.2%を占めた。
鍵を持っている。自宅に停めている。それだけでは十分と言い切れない。
見せる、遅らせる、始動させない、記録する。役割の違う対策を重ねることが、今日からできる現実的な答えである。
企画・執筆・編集:CRAFT WORKS TOKYO
本ランキングは日本損害保険協会「第27回 自動車盗難事故実態調査」の2025年車両本体盗難・保険金支払件数を基に作成。警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」で認知件数、キーの状態、発生場所、保有台数あたりの数値を照合した。公表資料で確認できる事実と、CRAFT WORKS TOKYOによる防犯設計上の整理を分けて構成している。個別車両の対策は年式・仕様により異なるため、メーカー・販売店・セキュリティ専門店へ確認してほしい。
情報確認日:2026年8月27日
主な確認資料
日本損害保険協会|第27回 自動車盗難事故実態調査結果
警察庁|自動車盗難等の発生状況等について
TOYOTA|トヨタのセキュリティシステム
TOYOTA|リレーアタックによる車両盗難に対する応急対策
※本記事は防犯上の一般情報であり、特定の対策による盗難防止を保証するものではありません。車種・年式・仕様に適合する対策をメーカー、販売店、セキュリティ専門店へ確認してください。


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